2015年6月4日木曜日

本葺き瓦シリーズ(神社編)

今日から、本葺き瓦のシリーズをスタートしたいと思います。

本葺きとは、平瓦と丸瓦とを組合わせて葺く工法のことで、重厚・荘厳・曲線美等の屋根を表現することのできる工法です。





シリーズ1回目は、某神社のご紹介です。




谷部は、45度で予め作った「谷瓦・谷巴」を使用し、意匠はもちろん、耐久性もバッチリです。


隅巴・掛巴・軒巴の接合部は巴蓋(ともえぶた)で覆い、この物件では唐獅子が取り付けられています。

本葺き瓦には、「三枚重ね」の理論があり、平瓦が三枚重なって施工することで、平瓦が一枚割れても雨漏りしない、また、葺き足寸法が短いと重厚さを表現できるなどの、先人の知恵が凝縮された瓦です。



2015年6月3日水曜日

南あわじ市新庁舎(瓦いろいろ)

シリーズ12回目は、南あわじ市新庁舎で採用された、瓦の色んな使用方法のご紹介です。


渡り廊下の地面(瓦のシャモット入り)




フロア部の洗い出し(小さな瓦のシャモット入り)


瓦ブロック


小端立て及びシャモット
排水溝によく使用される「グレーチング」に、予め小端立て瓦とシャモットを入れてセットしています



 シャモット
樋鎖から落ちる雨水の飛び散り防止のため、シャモットを使用
(ナイスなアイデアです)


特注瓦スクリーン
今回の物件で最も特長的な「瓦スクリーン」、デザインは勿論のこと、日差しを遮る効果も絶大で、背後のガラスに映る瓦も、いい味を醸し出しています。

流石、大手設計事務所。
各種のモックアップ(試作品)で苦労はしましたが、柔軟かつ斬新なアイデアがてんこ盛り。
目から鱗なことがたくさんありました。

閉塞感の漂う瓦業界ですが、アイデア次第でまだまだ可能性があると思わせてくれたプロジェクトでした。




2015年6月2日火曜日

南あわじ市新庁舎(渡り廊下編)

シリーズ11回目は、4月に開庁した南あわじ市新庁舎の渡り廊下のご紹介です。


新庁舎屋上から


軒瓦はカマ軒


旧庁舎から新庁舎まで120m以上


 野地板なしで、C型鋼に人工木材を取付け


既存庁舎から新庁舎を結ぶ渡り廊下は、長さ120m以上の片流れ屋根で、バス・タクシー乗り場にもなっています。
何と言っても、渡り廊下の特長は、通常の屋根だと瓦の裏面を見ることができませんが、今回は、瓦の裏面を意匠として見せるため野地板はなし。
よって、瓦の納まりが間近に見ることができます。

施工期間が真冬で風が強かったため、割付をするときに糸が張れなかったり、足の踏み場が少ないので施工スピードが遅かったり、色々苦労はありましたが、非常にスッキリ綺麗に仕上がりました。
こちらも新庁舎同様、瓦の割付ありきで設計していただいたので、一カ所の隅棟以外は、一枚も桟瓦をカットせず施工しています。


平成27年3月完工
使用瓦 いぶし53判切落防災瓦

2015年6月1日月曜日

南あわじ市新庁舎(瓦ウォール編)

シリーズ10回目は、4月に開庁した「南あわじ市役所」のご紹介です。





何と行っても瓦の斬新な使い方が特長で、開口部は瓦の寸法ありきの設計をしていただき、瓦はカットせずに収まっています。
また、留め付けは溶融亜鉛めっき処理した軽量鋼材の横桟に、専用の留め付け金具とビスで緊結して強度は十分ですが、議場部と一階部は、万が一の落下に備えて、桟瓦の裏面はブチルテープを貼っています。

また、オープン後は瓦業界の方々が多く見学に来ていただき、携わった者として、非常に嬉しい限りであります。

平成27年3月完工
使用瓦 いぶし53判切落防災瓦


2015年5月30日土曜日

珈琲庵「珈集」箕面店

シリーズ9回目は、和風テイストな外観の珈琲店「珈集」様の大阪箕面店。




軒瓦は、珈琲の「珈」の字を特注で製作しました。


「うだつ」も取付けられ、本格的な日本家屋の様相です。
余談ですが、「うだつ」とは、屋根に取り付けられる、小柱、防火壁、装飾で、うだつを上げるには、それなりの出費が必要だったことから、これが上がっている家は、比較的裕福な家に限られていた。
これが、「生活や地位が向上しない」「見栄えがしない」という意味の慣用句「うだつが上がらない」の語源の一つと考えられている。

ゆったりと落ち着いた雰囲気の中でのティータイム。
大駐車場も完備されていますので、ドライブ途中、買い物の途中に是非!

平成23年2月オープン
場所 大阪市箕面市新稲1丁目158-3
営業時間 8:00~23:00(年中無休)

2015年5月29日金曜日

ドコモショップ(本葺き一体瓦「源八いらか」)

シリーズ8回目は、某ドコモショップのご紹介です。



最先端のスマートフォン等を取り扱うドコモショップさんが、和風の店舗を採用。
一見ミスマッチのようですが、ぜんぜんマッチしてると思いませんか???
屋根はもちろん、敷瓦と白漆喰の「なまこ壁」もいい感じです。

平成20年完工
使用瓦 本葺き一体瓦「源八いらか」



2015年5月28日木曜日

南あわじクア施設(特注スパニッシュ瓦)

シリーズ7回目は、南あわじクア施設「さんゆ~館」のご紹介です。









設計コンセプトは、モダニズムなデザインを基本に、シンボリックな外観を表現する屋根形状。
色調は、周囲の自然と向き合って、四季折々の千変万化に調和する「彩雲」のような色ムラの不揃いの美しさと風合いを醸し出しています。

平成14年完工
屋根面積 約2,800㎡
使用瓦 本葺き及びスパニッシュ瓦特注品